2003.5.23

 
  幻の本庄遷都(本庄市)
  水谷勇三
   

 明治11年時の元老院議員佐野常民によって「本庄遷都意見書」がまとめられた。佐野常民は後松方内閣の農商務大臣を務め、日本赤十字社の創立者でもある。
 それによると、東京は箱根、碓氷峠を背後にして守りは堅いが、江戸湾から艦砲射撃を受けるともろい。東京は低湿地で伝染病が蔓延しやすい。消費都市として発達したため風俗が浮薄である。従って新首都は日本の中心である上州、武州に求めるべきであるが、前橋は水利がよくなく、高崎は山が迫り、冬が寒い。
 一方、本庄は相当の陸地の幅があり、武州、関東の中心にある。本庄は土地が高く眺望に優れ、冬もさほど寒くない。利根川の水運に恵まれ、飲料水も豊富であるなどを理由に本庄は新首都として相応しいと述べている。いささか我田引水であるが本庄は住みよいところという例証であろう。しかし、この意見書は審議されるに至らなかった。

佐野常民物語

 

 

 
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