2007.2.25

 
  細川紙(小川町)
  水谷勇三
   

  小川町は和紙の里である。和紙の歴史は古く1300年前に遡る。江戸幕府は高野山麓の細川村で生産されていた細川紙を重用し、古くから帳簿用紙、文庫紙などに使用されてきた。細川紙は楮(こうぞ)の皮を原料として作られ、丈夫で厚みのあるのが特徴である。

 小川町の和紙は大同年間の慈光寺創建に伴う写経の勃興からこの地に製紙業が確立したといわれている。幕府は江戸の近くに和紙の産地があることを知り、細川紙をすかせたところ成功して新産地となり、今日の細川紙を形成した。

 江戸時代には、江戸の紙の需要を一手に引き受けたから、生産量は拡大し、小川町は武州3郡の中心地となり、槻川沿いの東秩父村から小川町にかけて700軒ほどの紙すき農家があったと伝えられる。

 しかし、終戦後の生活様式の変化と製紙業界を巡る機械化により和紙の需要は減退し、今日伝統工芸として趣味、観光に活路を見出している。
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