2006.3.19

 
鈴木広喜
 
秩父札所34ヶ所 第2番  真福寺(秩父市)
 
  四創建は正確には不明であるが、寺伝では室町時代と伝えられている。その昔、大棚禅師は山奥の洞窟に安置した観音様にしばしばお参りに来る老婆がいるので、その理由
を聞いてみると、「私はこの里の農家の妻ですが、欲張りのうえに鬼のような性格なので、これを直して欲しいと観音様に御願いしたら、さらに信仰をすればお前と同じような者も救われるであろう、とお告げあったのでお参りを続けているのです」と告げたという。そこで禅師は心をうたれ、お参りし易い大棚の地に観音様を安置してあげたのである。禅師は霊験のある土地に堂を建て観音堂を安置したのが寺の始まりといわれている。

 本尊は聖観世音の立像で高さ54cmでケヤキ造りの須弥壇の正面に収められている。1800 年(江戸後期)の火災の折には本尊は無事救出されたといわれており、室町時代の作と伝えられている。
  納経所は光明寺(写真)である。縁起によると桓武平氏の始祖である高望王の弟の恒望王が、807 年(平安時代)に逝去した屋敷跡に冥福を祈るため建てた光明庵が前身である。その後1318 年(鎌倉時代)丹党の関口氏が鎌倉の建長寺から法性国師物外を迎えて再興し、光明寺と改めたと云われている。
 
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