2006.8.20

 
鈴木広喜
 
秩父札所34ヶ所 第30番 法雲寺(秩父市旧荒川村)
 
  この寺の観音堂へは37段の石段があり、それを上がると観音堂である。静かな山の中の寺な ので爽やかな空気である。
 開山は本山建長寺の19世道陰物恵禅師中国出身の僧で、正中2年(1325鎌倉時代)である。このことについての伝説がある。本尊である如意輪観世音菩薩像は中国の唐の玄宗皇帝が楊貴妃の冥福を祈って自らこれを刻んだといわれている。39cmの小さな像で、楊貴妃観音とも呼ばれている。縁日と御開帳のときに拝顔できる。
 堂前にはそびえ立つヒバの大木がある。樹高20m、根回り約4.8mもある大木で観音堂が建立されたのを記念して開山の道陰物恵禅師がお手植えしたものと伝えられている。ヒバにしてはまれに見る大木であることから旧荒川村の天然記念物に指定されている。また、古い納札が保存されている。享禄4年(1531)から天文8年(1539いずれも室町時代)の間のいくつかの年号が残り、秩父札所では2番目に古い資料である。
 境内には、水陸に住んでいる諸処の動物の慰霊碑がある。これは奥秩父温泉郷旅館組合が旅館等で使用する川魚、野鳥獣これらの霊に感謝し、慰霊を供養するため昭和54に建立した。
 
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